神鳥の卵 第22話


「だいたいね!あんたの料理食べてルルーシュがお腹壊したらどうするのよ!」
「きみと違って、ちょっとしたものぐらいなら作れる」
「あんたいま、私を馬鹿にしたでしょ!!」
「事実だ」
「あったまきた!」
「おい、お前たち。ちょっとまて」

ヒートアップし始めた二人をC.C.が止めた。
ジャマをするなと二人はC.C.を睨みつけた。
この二人はライバル意識があるのか、衝突することが多い。そして勝負を始めたら長いし周りに被害も及ぶ。外に出ろと言いたいが、スザクは素顔をだせないし、ゼロがカレンと喧嘩をすることは出来ない。まあ、スザクのストレス解消には、こういう衝突は適度にあったほうがいいか。
今回は料理が原因。
そしてこの流れなら、カレンが料理をするはず。
だから、C.C.は提案した。

「今日はもうお開きだ。ルルーシュの治療を優先させる」

不満そうな二人だが、ルルーシュを出されれば何も言えない。
氷で口の中を冷やし、もう痛くないから大丈夫だと笑っているが、やせ我慢だというのはバレバレだ。もしナナリーがいなくても、ルルーシュは痛みを隠そうとするだろう。ゼロだった頃も怪我をしていたはずだ。だだがそれを誰にも知られず隠し通していたに違いない。・・・やせ我慢する姿も可愛いが、痛々しい姿を見る趣味はない。

「今日は、私が泊まって様子を見ます」

最悪の状態ではないが、軽くもない。発熱したり化膿したりする可能性がある。そうなればセシルとロイドでもどうにもならず、小児科に連れて行くしか無い。
ロイドは最近夜遅くまで仕事をしていたから、もう半分眠り始めていた。だからロイドは帰って寝かせなければ。セシルとC.C.、咲世子は病院の事も考えなければならないし、ルルーシュを休ませなければならない。
いまから騒がれても困ると言えば、二人はおとなしくなった。
ナナリーも残りたいと言っているが、明日も仕事なので部屋に戻って休まなければならない。カレンはナナリーの護衛としてナナリーを連れ帰る仕事がまだ残っている。

「と、いうことだ。とはいえ、お前たちも怒りは収まらないだろう?だから、明後日、二人はここで料理勝負をしろ」

ゼロはこのあと1週間は出張の予定はない。ナナリーもだ。
だから今日これからやる必要はない。ルルーシュは明日一日様子を見なければならないから、最速で明後日だ。もちろんルルーシュのやけどがこれからひどくなり、水ぶくれなど悪化するようなら完治するまでお預けだが。

「料理勝負?」
「そう、もちろんテーマはピザだ」

C.C.が言い出した時点で予想していた二人は、自分が食べたいだけだろうと冷たい視線を向けた。

「そこはルルーシュの食事じゃないの?」
「あいつの火傷の状況によっては参加できないからな。ならば国民食であり、全世界の人間の好物でもあるピザで勝負するべきだろう」

ピザなら不味くなりようもないし、面白いピザを食べられるかもしれない。
その上二人の怒りもおさまるのだから一石二鳥だ。最近咲世子も3日に1回ぐらいしか作ってくれないし、デリバリーを頼むことが出来ないためC.C.はピザ不足だった。
変装して外で食べることもあるが、できればここでのんびりダラダラ横になりながらピザを食べたい。材料はあるし、足りないなら買ってきたらいい。なにせ明日1日時間があるのだから。

「いつ国民食になったのよ」
「別に僕の好物じゃないし、全世界ってありえないよね」

二人に突っ込まれてもC.C.はどこ吹く風。

「作り方がわからないなら咲世子に聞け。では、決まりだ」

二人の文句は完全に無視し、C.C.はこれでお開きだと場を締めた。

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